Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
十五
小説の某大家は柱によって、悲しそうな顔をしている。生前最も親しかった某画家は羽織を雨にめちゃめちゃにして、あっちこっちと周旋して歩いている。「君、実際、感に打たれましたよ。苦労をしぬいて、ようやく得意の境遇になって、これから多少志もとげようという時に当たって何が来たかと思うと、死!」こう若い和尚さんは話した。
「名誉をおって、都会の塵にまみれたって、しかたがありませんな……どんなに得意になったって、死が一度来れば、人々から一滴の涙をそそがれるばかりじゃありませんか。死んでからいくら涙をそそがれたってしかたがない!」
主僧の眉はあがっていた。
その夜は遅くまで、清三はいろいろなことを考えた。「名誉」「得意の境遇」それをかれは眼の前に仰いでいる。若い心はただそれのみにあこがれている。けれど今宵はなんだかその希望と野心の上に一つの新しい解決を得たように思われる。かれは綴の切れた藤村の「若菜集」を出して読みふけった。
本堂には如来様が寂然としていた。
十五
裏の林の中に葦の生えた湿地があって、もと池であった水の名残りが黒く錆びて光っている。六月の末には、剖葦がどこからともなくそこへ来て鳴いた。