Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
ついぞ今まで車のはいって来たことなどはないので、不思議に思って、清三が本堂の障子をあけてみると、白い羅紗の背広にイタリアンストロウの夏帽子をかぶった肥った男と白がかった夏外套をはおった背の高い男とが庫裡の入り口に車をつけて、今しもおりようとするところであった。やがて小僧がとり次ぐと、和尚さんの姿がそこに出て来た。久濶の友に訪われた喜びが、声やら言葉やら態度やらにあらわれて見えた。
やがてその客は東京から来た知名の文学者で、一人は原杏花、一人は相原健二という有名な「太陽」の記者だということがわかった。いずれも主僧が東京にいたころの友だちである。
清三の室は中庭の庭樹を隔てて、庫裡の座敷に対していたので、客と主僧との談話しているさまがあきらかに見えた。緑の葉の間に白い羅紗の夏服がちらちらしたり、おりおり声高く快活に笑う声がしたりする。その洋服や笑い声は若い青年にとってこの上もない羨望の種であった。
「原っていう人はあんな肥った人かねえ。あれであんなやさしいことを書くとは思わなかった」
郁治はこう言って笑った。
勝手へ行ってみると、かみさんと小僧とはご馳走の支度に忙しそうにしていた。