Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Lesen Sie 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) von 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.396 Zeichen · 312 Bildschirme
久しく腐れ文学に頭脳を萎えさせていた日本人は、日に月に追窮し来る生活のために酔夢愕然として醒め来り、ようやく真面目に立ち帰らねばならぬ今日となり、一も実業、二も実業と、実業熱の大流行を来たし、ほとんどその極度に達した。しかるに新聞雑誌に大いに紹介さるところの人々は、みな一代の富豪で、いわゆる俄大尽のみであるから、さなきだに空想に駆られ易い青年などは、一足飛びに大金持になれるものと心得、実着細心を要する業務に従事することを軽んずる傾きを生ぜしめる。骨が折れずに体裁もよくてそれで金の儲かる仕事を望むようになる。けれども世人が羨望措く能わざるところの富豪は、もとより非凡の人たるはもちろんなれども、おおむね戦争を利用し、あるいは投機的事業を企図し、あるいは高位高官に取り入りて、莫大の利を得たるものが多く、その敏腕を称せらるる内には、必ずある一種の不正を加味せられざるものほとんどなしと聞けり、世にかかる浮雲に等しき富を望む者の多きは歎かわしき限りである。
ここに当店へ出入りの油屋、彼はもと越後の小百姓であったが、地主へ奉公するも一生開運の見込みなきところから、夫婦相携えて他に糊口の道を探すべく東京に出て来た。