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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

したが、およそ道誉のいたしたことは、武門の名誉とはうらはらなもの。おかげで道誉は海内随一の寝返り上手という名を博したことになり申そうか。いや、自嘲にたえん」

「人には人の才能がある。それも器量の一つ。道誉にあらずんばなしえない」

「お賞めやら? お貶しやら? とにかく道誉を知る者はあなたでしかない。同時に、あなたを知る者もそれがしだと自負しておる。そのためにや、分の悪い役割とは思いながらも唯々として、御計略の道具になった」

「珍重珍重」

と、尊氏も戯れて、

「この後も使うぞ」

と、顔じゅうのあばたを笑クボにして言った。

入れ代りに、陣幕を揚げて、直義が顔を見せた。明け方のつかの間だったろうが、よく眠った朝の顔だった。

「兄者」

と、つい出たことばを、言いあらためて。

「兄上。――一夜考えておく――との昨夜の御意でしたが」

「む。この後の方針か」

「されば。いちど鎌倉へひきあげて地固めするか。または、このまま義貞を追ッて都へ迫るかの、二途ですが」

「きめたよ、直義」

「どう?」

「このまま行こう」

「即日?」

「今日にも」

「こころえました」

「鎌倉などは欲しいものにくれてやれ。