Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme
半化け又平
一
一
がちゃん!
「おや、またやっちゃった」
下女のお松が恨めしそうに、洗い桶の中から縁の欠けた茶碗を取出した。
「どうしてわたしはこう運が悪いのだろう、皿でも茶碗でもわたしが触りさえすれば欠けてしまう。今朝からもう五ツも壊しちゃった。とてもこれでは凌ぎがつかない」
溜息をついていると、
「お松さんまた出来たね」
と水口からのぞいた者がある。
色白の眉の濃い、口許のしまった立派な人品だが、どこかに間の抜けたところがあるのと、いつもえへら笑いをしているのとで、「半化け又平」と呼ばれている下郎又平であった。半分だけ人間に化け損ったという意味の綽名である。
「ああびっくりした」
お松は眼をむいて、
「気味が悪いよ又平さんは、わたしが茶碗を欠きさえすればきっと嗅ぎつけてやって来るんだね。本当に妙な鼻だよ」
「鼻じゃない耳さ、えっへへへへ」
又平はだらしのない声で笑った。
「武士は轡の音で眼を覚まし、又平は茶碗の欠ける音で駆けつけるってな、諺にもあるだろう」
「そんな話は聞いたこともないよ」
「ところで今度は何だね」
「この茶碗さ」
「えっへへへ有難え、貰っておくぜ」
又平は欠け茶碗を押し戴いた。