Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme
「稗野殿は戦争どころではあるまい」
「吝内のことだから、今ごろは他領へ逃げ支度でもしているだろう」
ひそひそ悪口を言う者さえあった。
「誰かもう一度迎えにやれ」
堪りかねて景勝が喚いた時、――若侍が辷るように入って来て、
「猪苗代殿、御登城にござります」
と伝えた。癇癖の強い景勝は、額へ青筋を立てていたが、入って来る左内を見ると坐るのも待たずに、
「遅いぞ左内、急を要する総登城と申してやったに、重役の身を以って何故の遅参だ。仔細によっては赦し難いぞ」
「お怒りまことに恐れ入り奉る」左内は平伏して、
「実は急を要することゆえ、いささか支度に手間取ってござります」
「まだ評議も決せぬに何の支度だ。このたびの挙兵は、上杉家にとって故太閤殿下に御報恩申すべき大事の場合、家中政治向き不如意の折から、どうすれば大軍を起こすことが出来るか、重役共も余も寝ずに評議を続けているのだぞ」
「お言葉のほど重々恐れ入り奉る。しかし、それゆえにこそ、支度に暇取りました次第にて」
「ええ、支度支度とどれほどの事をした」
「老耄岡野左内、戦場においてはもはや昔ほどの、働きは及びませぬ。これを最後の御奉公と存じていささかばかりの支度、御覧下さるよう」