Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
親方がしゃんとしとりゃ、おれたちだって、こんな箱の中に、一週間も、閉じこめられんで、すんじょる」
「ま、ええわ。おれにすこし考えがあるけに、一緒に彦島に行こう」
「うん、金さんの行くところなら、どこでも行く」
いずれは、二人で、支那大陸に渡ろう、という約束をした。
或る日、また、マンが、小窓の外から、笑いながら、
「はい、新聞」
見ると、土地の赤新聞に、大きな見出しで、でかでかと、「コレラの海の中で、すこしも感染しなかった、不思議な二人の不死身男」、そして、金五郎と新之助との写真が、ならべてかかげられてある。
「生まれてはじめて、新聞ちゅうもんに、載ったのう」
二人のしがない沖仲仕は、妙に、くすぐったくてならなかった。
一歩も出られぬ箱の中が、やはり、どうにも寂しくてたまらなくなり、二人は、酒盛をしては、手をたたいて、唄を歌ったりした。
八日目に、やっと釈放された。金五郎は、その足で、谷口林助の家を訪れて行った。マンは裏庭にいると教えられて、そちらに、廻った。垣をあけると、菊の香が鼻を打った。
マンは、柿の木の根元にしゃがみこんで、泣いている。新しい土盛りの上に、カマボコ板でこしらえた、小さな二つの墓標がならび、線香の細い煙がながれている。