Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
帳面方、兼会計は、大川時次郎であるが、留守なので、松本が代行している。
「頼む。今日だけ、三十銭」
酒好きの城三次がねだる。
「今日だけとはなんかい。毎日じゃないか。あんまり安酒は飲まんがええで」
「女に振られたけ、やけ酒じゃよ」
「飲みすぎるから、嫌われるとよ。……ほんとに、今日だけばい」
後に、松川源十の後をうけて、玉井組のボーシンになった松本重雄は、しっかりしているところがあった。
それぞれの文句をいいながら、子分連中はにぎやかに帰って行く。途中、露店や、おでん屋、居酒屋などに寄る者が多い。彼等の楽しみは、なにより、「角打ち」だ。桝の角から、キュウッと、冷酒を一息に飲むことである。
金五郎は、荷役の監督をする甲板番の労をねぎらおうと思った。
「副島さん、ちょっと、そこらへ行きましょう。簡単に、晩飯でも……」
「ああ、つきあおう」
二人が事務所を出ようとしたとき、老小使が金五郎を呼びに来た。だいぶ前から、客が来て、裏で待っているという。
金五郎は、「ちょっと」と、副島にいいおいて、裏に廻った。幇間の胡蝶屋豆八であった。
「豆八ッあんか。誰かと思うた。なんごとじゃね?」