Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「多くはいいません。あなたが命が惜しいなら、この書類を読んで、名を書き、判をついて下さい」
金五郎は、右手に拳銃を擬したまま、左手で卓のうえに置いた数枚の紙片を、友田の前に押しやった。万年筆と、印肉とを添えた。
観念した友田は、ふるえる手で、署名をし、親指で、拇印を押した。
金五郎は、手にとって、
「結構です。ありがとうございました。これで、争議解決の目安が立ちました。もっとも、ストライキをしても、炭商組合側がどう出るかわかりません。でも、荷主が強硬じゃったのは、あなたを味方にしとったことが大きな理由だったようですから、話が変って参りましょう。ストライキ後の交渉には、どうか、協力願います」
「骨折る」
仕方なさそうに、友田は答えた。
「これは、写しとして、お手元に残して置きます」四枚のうち、二枚を卓のうえに置き、残りをポケットに入れた。「それから、申し添えて置きますが、ここへ来る前、わたしは、家族や、子分たち、知己、友人、その他に、遺書を残して来ました。あなたを殺し、自分も死ぬつもりじゃったからです。子分たちは、十人ほどで、決死隊を作っています。もし、あなたが、今のことを、その場逃れだけにして、争議を裏切ったり、わたしに危害を加えたりすると、十人の子分が、どんなにしてでも、あなたを生かしては置かぬことを、承知