Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
正三君が学習室へもどるとまもなく、照彦様は、
「きみ、なんの用だったい?」
とささやいた。
「後から申しあげます」
「柳田さんにかみついたことがわかったんじゃないかい?」
「いいえ」
「なんだい?」
「僕の扁桃腺です」
「きみの扁桃腺?」
「若様のより大きいですから、さっそく切るんですって。ついては家へ相談にいってくるようにとおっしゃいました」
「帰るのかい?」
「ええ」
「困る」
「手紙でまにあわせましょうか?」
「そしてくれたまえ」
「はあ」
「いつ切るんだい?」
「若様とご一緒にこの土曜日らしいです」
と正三君もつい長くなる。
「散乱心を戒めてえ。臍下丹田に力を入れてえ」
と安斉先生が吟じた。むずかしいじいさんだ。
翌日学校から歯科医へまわって帰途に、正三君はソロソロ芝居を始めていい頃だと思って、
「若様、お歯がこれですんで今度はイヨイヨ扁桃腺ですね」
と切りだした。
「僕も今ちょうどそれを考えていたところだよ。いやだなあ」
「いやですねえ」
「ははあ。きみも見かけによらない弱虫だね」
「なぜですか?」
「ゆうべ初めの中いばっておきながら、藤岡さんに見てもらってからのあわてざまってなかったよ。