Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
電光石火、エイッと一声。そこは昔きたえた関口流です。若様、渾身これ鉄ですよ」
と安斉さんは自慢ばかりしている。
翌朝早々、書生部屋に杉山をおとずれたのは、照正様と照常様だった。杉山は腕をちがえた上に腰をしたたか打った。ゆうべ畑の井戸で行水を使わされたまま、かつぎこまれてまだ寝ている。むろん医者の手あてを受けた。しかし丈夫な男だから、他に異常はない。
「杉山、どうだい?」
と照正様がきいた。
「お陰さまでえらい目にあいました」
「痛むかい? 腕は」
「はあ。お陰さまで」
「変なことをいうなよ。万年筆を持ってきたぞ」
「いただきます」
と杉山は痛くない方の手を出した。
「僕は腕時計を持ってきたぞ」
と照常様は不要の品を筥に入れてきた。
「いりません」
「なぜ?」
「時計はあります」
「それじゃなにをやろうか?」
「なにもいりません。いただきたくておひきうけしたんじゃありません」
「しかしきのどくだ」
「ご同情してくだされば、もうそれでありがたいです」
「杉山、僕と照常が頼んだことをだれにもいわないでくれよ」
と照正様はそれが心配でやってきたのだった。
「申しません」
「大丈夫だろうね?」