Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「もうよそう」
「はあ」
「つまらない」
とラケットを台の上へほうりだす。正三君は後かたづけをしなければならない。
大弓場へいって弓を引いている間もそうだ。照彦様は楽なことだけをする。すなわち射るばかりで、矢を拾いにはけっしてゆかない。
「若様、今日はすこしあたりがおわるいですな」
「なあに、きみには負けない」
「僕はもう二本あてました」
「僕は三本あてているよ」
「僕は矢数が少ないんですもの」
と正三君は拾いにばかりゆくので、半分しか射る間がない。
「そんなことをいうなら、考えがあるぞ」
「なんですか?」
「矢を取りにいっているとき、射ってやる」
「冗談おっしゃっちゃ困ります」
「きみの頭を射ぬけば、まさかあたりがわるいとはいうまい」
「僕はもう取りにゆきません」
「大丈夫だよ」
「いや、まぐれあたりってことがあります」
「失敬だ」
「ハッハハハハ」
「それじゃ二人で十本ずつときめて腕くらべをしよう」
と照彦様が発起する。正三君はもとより望むところだ。尋常の勝負となれば、お相手も張り合いがある。こうもちかけないと、拾いにばかりいかされて、楽なことができない。正三君だってあたりまえの子供だ、苦しいことが天性特別すきな筈もない。