Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
小学時代に時たま冗談にとったぐらいのものだった。手といっては足がらみのほかなにも知らないから、いまやそれを応用してただグイグイ押した。負けると後々のためにならないと考えて、真剣だったからたまらない。照彦様はよろめき始めた。しかし押される方もはなさないし、押す方もいいかげんのところで振りはずす工夫をしないから、二人一緒に刺繍台の上に倒れてしまった。下になった照彦様は机のかどで頭を打って泣きだした。
「ごめんください。ごめんください」
と正三君はあやまりながら抱きおこした。照彦様は刺繍台をつぶしたことに気がつくと、正三君を突きのけて逃げていった。ご丹精の芙蓉が落花狼藉になっている。
「私、こまるわ。これ、暑中休暇のお宿題よ」
と妙子様は涙ぐんでためいきをついた。
「申しわけございません」
と正三君は平身低頭して罪を待つばかりだった。
「なんですの? いまの音は」
とそこへ奥様があらわれた。正三君はシクシク泣きだした。
「お母様、内藤さんはすこしも悪いんじゃありませんのよ」
と妙子様はすぐにとりなして、一部始終を申し上げた。
「そうして照彦は逃げてしまいましたの?」