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Japanische Klassiker mit Furigana

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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme

Aozora Bunko

「照正は数学かな?」

と殿様は照常様を奥様にまかせてつぎの机に移った。

「はあ」

「数学には同情する。高等科になってもまだあるのかね?」

「はあ、今年一年苦しみます」

とご長男照正様は得たり賢しで、顔をしかめてみせた。

「親ゆずりなら、おまえに数学のできるはずはない」

「どうもいけません」

「家のものはみんな数学がいけない」

「エヘン」

「語学の方はどうにかこうにかやるが元来花岡家には数理の頭がないのらしい」

「エヘンエヘンエヘン」

「安斉はかぜを引いたかな?」

「いいえ、いっこう」

「さっきからしきりに咳が出る。大事にしたがいい」

「はあ、ありがとう存じます」

「それでは有本君、矢島君、黒須君、ご苦労でした」

と殿様は一々ご会釈をたまわって、奥様とご一緒に退出した。廊下までお送り申しあげた安斉先生は、

「照常様、ちょっと学監室へ」

と時をうつさず現われた。

「はあ」

と照常様は立っていった。むろん女優の写真を持っていた件で説諭を受けるのである。

「いい気味いい気味!」

と照彦様が正三君の注意を呼んだ。

「なんですか?」

「お兄様とご一緒に内証で活動へゆかれた罰があたったんだ」

「こらこら、よけいなことをいわないで勉強しろ」