Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

乗り物で行くほどでもないのでめいめいが重箱や折詰の包を提げながら出かけたが、

「もう日傘がいりますなあ」

と、お久は照りつけられるのを恐れて手をかざした。日はそのうすい手のひらの撥だこのある小指の肉を傘の紙ほどに赤く透して、暗く翳っている顔が日のあたっている頤の先よりも一層白い。どうせ今度は真っ黒に焼ける、傘なぞ持って来ないがいいと云われながら、手提げの底へ忍ばせて来たアンチソラチンを出がけにそっと、顔、襟、手頸、足頸にまで塗っているのを見た要は、この京女が絹ごしの肌をいたわる苦心をいじらしくも笑止にも感じたが、道楽の強い老人はこまかいことに気が廻るようでいて、自分がこうと云い出したら案外そう云う思いやりが乏しいのである。

「あんた、早う行かんと十一時どすえ」

「ふん、まあちょっと待ちな」

と、ときどき老人は骨董屋の前で立ち止まる。

「ほんまに今日はええお天気どすな」

と、要と一緒にそろりそろり先へ行きながら、お久は晴れわたった空を仰いで、

「こう云う日には摘み草がしとうて、………」

と、不平らしく口のうちで云った。

「全く、芝居よりは摘み草に持って来いと云う日だ」