Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
不潔で野蛮な感じがすると云う美佐子の批評も酷だけれども、そう云う非衛生的な歯を治療しようともしないところに無智な女の哀れさがあった。
「この御馳走は家から拵えて来るんですか」
要は彼女が小皿の上へ取ってくれる玉子焼の海苔巻をつまみながら云った。
「そうどす」
「こんな重箱を提げて来るんじゃ大変だな、又帰りにはこいつを持って行くんですか」
「そうどす、芝居のものは味のうてよう食べんお云やすよって、………」
美佐子がちらと二人の方を振り返ったが、すぐまた顔を舞台に向けた。
要はさっきから、彼女がときどき足を伸ばしては、足袋の先が夫の膝頭に触れると急いでそれを引っ込めるのに気が付いて、こう云う狭い升の中に入れられた自分たち夫婦の人目を忍ぶ心づかいを、ひそかに自ら苦笑しないではいられなかった。彼はその気持を紛らすために、
「どうだい、面白いかい?」
と、うしろから妻に声をかけた。
「いッつも面白いものをたんと見ておいでやすよって、たまには人形もよろしおすやろ」
「あたしさっきから義太夫語りの顔つきばかり見ているの、あの方がよっぽど面白いわ」
その話ごえが耳につくらしく、
「えへん」