Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
「恐らく僕もそうなんだろうとは思ってるんだが、そう考えるといよいよ時機がなくなってしまって、身動きが出来なくなるもんだから、………」
「結局こいつは、別れないで済むことになるんじゃないかな」
「君はそう云う気がするかね?」
「僕より君はどうなんだ?」
「僕にはどうなるか全く分らない。分っているのは、別れなければならない理由は余りに明かに備わっている、これまででさえうまく行かなかったものが、阿曽との関係が出来てしまった今となって、―――それも僕から寧ろすすめてそれを許した今となって、―――夫婦でいられる訳はないし、すでに夫婦ではなくなっている、と云う事実だ。僕も美佐子もこの事実を前に置いて、一時の悲しみを忍ぶか永久の苦痛に堪えるか、どっちとも決断が附かずにいる、―――決断は附いているんだが、それを実行する勇気がないので迷っているんだ」
「君、こう云う風に考えることは出来ないかしらん?―――すでに夫婦でないものなら、別れる別れないと云うことは、云いかえると一緒の家に住むか住まないかと云うだけのことだ、―――そう考えたらよっぽど楽になりはしないか」
「もちろん僕は出来るだけそう考えているんだよ、そう考えていてやっぱりなかなか楽でないんだよ」