Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「あ、八五郎親分」
お雪は早くも路地へバアと顔を出した、長んがい顎を見つけて、門口の外まで迎えてくれます。
洗いざらしのひどい袷、襟の赤い色もあせて、見る影もない姿ですが、襤褸に包まれた四肢にも、油っ気のない髪の光沢にも、娘盛りの美しさが溢れて、豊かな頬、聡明そうな瞳、柔かく延びた首筋――すべて魅惑的でないものはありません。
「今日は銭形の親分をつれて来たよ」
「まア」
平次の顔を見ると、娘はバタバタと家へ飛び込みました。
「八、お安くないぜ、――お前の顔を見ると飛び出したじゃないか――でも俺の顔を見るとあわてて家へ逃げ込んだが」
「そんなわけじゃありませんよ。きまりがわるいんですよ」
八五郎の弁解を、背中越しに聴いて、平次は母親の前に御輿を据えておりました。
「昨夜投り込んだ品を見せてくれ。俺へ届けてくれた分は受取ったが」
「ハイ、これで御座います、親分さん。見す見す悪い人達の仕業と知っては、このままにもなりませんので、家主さんと相談をして、お役所に届けようと思っておりますが」
そういって出してくれたのは、小判で十両入った紙包と、半紙一枚のこれも八つ折にした手紙でした。