Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
平次は谷中の五重の塔の前に立って、七三にその頂上を見上げるのでした。
「五重の塔がどうしたんです」
「日射しも丁度申刻(四時)だろうな――おれはこの塔の上へ登り度いが、天王寺へ行ってかぎを借りて来てくれ」
「ヘエ」
八五郎は飛び出そうとしました。
「待て待て八、かぎを借りて入ったんじゃ知慧がなさ過ぎる。何にか工夫がありそうなものじゃないか、相手はまさか天王寺に渡りをつけて居るはずはない」
平次は八五郎を留めて、一応塔の周りをグルリと一巡しました。
そのころの五重の塔はまだ真新らしく、建付けも扉も厳重で、一寸一分の隙間があろうとも思われません。
「八、四方の扉へ触って見ろ。間違って開くのがあるかも知れない」
「ヘエ」
八五郎は五重の塔の四面の扉を一々念入りに調べましたが、それは鉄の如く厳重で、押しても引いても開く気振りもなかったのです。
「あッ、これだよ八」
「何んです親分」
「こんな事を忘れて居たんだ――これがかぎだよ」
平次は懐中から先刻の黄金の環を取出しました。五重の塔を一と廻りすると、南側の扉の、人の背丈より少し低いところに、丁度黄金の環を横にして滑り込ませるほどの、真新らしい隙間が出来て居るではありませんか。