Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

それは五重の塔の入口に立っての、言葉せわしい問答でした。

「いや申刻(四時)に此処で逢おうと誘われているんだ。もうあの日足は申刻半酉刻(六時)近いだろう。敵に後ろを見せるわけには行かないよ」

平次は隙間もる陽の光をながめながら、一寸も退く様子はありません。

「相手は確かにこの塔の上ですね親分」

八五郎はまだねばっております。虎狼のあぎとの中に飛び込んで行く、親分の身の上を案じたのです。

「間違いはないよ。先刻の手紙に書いてあったろう、『おやじの口の中』は谷中の判じものさ、谷という字は父の下へ口と書くだろう」

「へえ」

「六十の上は、五十の上だ、五重の塔さ、まるで子供だましだ。こんななぞなぞにつられるのはごうはらだが、一万二千両の御用金は放っちゃ置けない。それに斑組の首領は四人までも人を殺している。それを許して置いちゃ、懐中の十手に済まねえ」

「でも、親分」

「うるさいな、八。行けと言ったら、早く行ったらどんなものだ」

「へえ、行きますよ。怒ることはないでしょう――行きゃいいんでしょう」

八五郎は後に心の残る風情でしたが、平次の言葉が荒くなると、それに逆うのが悪いと思ったか、直ぐにトボトボと上野の森の中に影を隠してしまいました。