Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
見ると五階の狭い床を埋めて、金具の厳めしい箱が六つ――それは普通の千両箱などより遙かに大きく、細長い恰好に出来た御用金の金箱が、極めて無造作に並べてあるのです。
この箱一つには二千両づつ入るのが常識で、六つ並べると、明らかに一万二千両の金が入っていたわけですが、斑組の首領が易々とこれを平次に引渡す意味がわかりません。
念のために、一番手近の箱を動かしてみると、何んの苦もなく手に従って動きます。
「おや?」
見ると箱の蓋にブラ下がった大海老錠は抜いたまま、蓋を持上げてみると、中は思った通り空っぽです。
六つの金箱を手前から順々に開けて行くと、五つまでは無事に開きましたが、最後の一つは錠前が違っている様子で、海老錠も金具もなく、白木の箱の上――端っこの方には塔の入口の扉と同じように、幅二分長さ二寸ほどの穴があいているのでした。
恐らくこの穴も、塔の入口の扉と同じ仕掛けで、平次の手にある金の環で開けられるのでしょう。何処まで一体子供騙しのようなことをするのか、平次はひどくいまいましい心持になって、金の環を件の穴の中にポンと投り込みました。
が、暫らく押し試みても、箱は開く様子もありません。