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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

八五郎は併し、そんな事で引っ込む柄ではありません。手に持っていた紙片を懐中にちょいと入れて、神様の前に立った時のように、拍手をポン、ポン、ポンと、いささかも極り悪がらずに打ったのでした。

往来の人は一瞬胆をつぶして立ち止まりました。若い大男が橋の真ん中に立って、八つ手の葉っぱのような手を打って、四方をキョロキョロ見廻しているのです。

が、その途方もない所作も、今の人が考えるほどは怪奇なものではありません。いわゆる淫祠邪教がなんの牽束もなく江戸中にはびこって、稲荷様を始め、あやし気な祠や地蔵様が、あらゆる路地の奥や町角に鎮座していたころのことです。

八五郎も橋の上から何んかを拝む、行きずりの狂言者と思われたらしく、往来の足はそのまま、たいした支障もなく、穏やかに流れ出しました。

「八親分」

「何んだえ」

振り返ると十五、六の小僧が一人、蜆売か何かでしょう、饅頭笠で夏の朝陽を避けるように、実は自分の顔を隠して、二、三間後ろから声を掛けるのでした。

「持って来たかえ」

「うん」

「いきなり飛びかかろうなんて、悪い料簡は出さないことだぜ。そんな約束違いのことをすると、銭形の親分に怨まれるぜ」