Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

お静さんは明日までは生きちゃいないだろうよ、御愁傷様。

さいの目の一

平次どの

「畜生ッ」

八五郎は格子をハネ飛ばすように、ガタピシさせながら飛び出しましたが、もとより悪戯者はその辺にマゴマゴしているはずもなく、路地のやみは漆の如く濃い中を、八五郎は暫らくウロウロするだけのことでした。

「ムダだよ、八」

平次は格子の外へ顔を出しました。張りきった猟犬のように、歯を鳴らしたり、唾を吐いたり、闘争心に燃えさかる八五郎を呼び入れるのに、どんなに骨を折ったことでしょう。

「でも放っちゃ置けませんよ。相手は鬼のような奴等だ」

お静さんの命は今夜限り――と書いた手紙は、全くの脅かしとも思えず、今までの手口からいってもお静は邪魔っけな石ころのように、そっと片づけられないとは保証出来なかったのです。

「まアいいから家へ入れ。曲者はその辺にマゴマゴしちゃいない。おれの見当では両国か谷中か、いずれにしても巣は遠いよ」

「ヘエ」

八五郎は不承々々、お勝手口へまわって、雑巾で足を拭いております。戸棚から土竈から床板まで、貧しい調度ながら整然として輝いているのを見ると、八五郎は妙に涙ぐましくなるのを何うすることも出来ません。