Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「あ、八五郎親分、良いところで」
まさに息もたえだえ、そのまま崩折れそうになるのを、八五郎はもう一度抱き留めました。
「どうしたというのだ、お栄」
「伯父が、伯父が――殺されて」
「何? 伯父さんが殺された。何処だ」
「家の中で、――私がお隣りから帰って見ると殺されていたんです。早く早く」
お栄は漸く平静を取りもどしたらしく、二人の袂を引かぬばかりにせき立てます。
「暗いじゃないか」
平次は初めて口をききました。金沢町の路地を入って、突き当りのしもたや、近江屋半兵衛の家は、金貸しらしくお客が入り良いように出来ております。
「とび出すとき、手燭を消してしまいました。待って下さい、直ぐあかりをつけますから」
お栄はもうすっかり落着いたらしく、先に入って火打ち道具を捜しておりましたが、やがてプーンと硫黄の匂いがして、手燭にあかりが移されました。
見ると、入口から奥へ、斑々たる血の痕、平次と八五郎はそれを除け除け、お栄の手から受取った手燭をかざして次の間に踏込みます。
「おや?」
平次は敷居際に立止りました。
「どうしました、親分?」
「大変な血だが、死骸はないよ」
「そんなはずはありませんが――」