Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「ところで、死骸の足は床の間に着いていたのか、それとも浮いていたのか」

平次の問いは微妙になって行きます。

床柱に磔刑になった死骸の足が宙に浮いていたか、下に着いていたか、それは重大なことでした、血だらけの死骸を前から抱き上げて、足が浮くほど高く釣るためには、非凡な力量か数人の協力が必要であり、その上そんな作業をした者は夥しい血潮に浸らなければなりません。

「足は浮いていたと思うが――、なあ御近所の衆」

八五郎はその辺にウロウロしている近所の人達を顧みました。

「縄を切った時、どたりと音がして落ちましたよ」

その中の一人、分別あり気なのが答えました。そして椽側に捨ててあった血だらけの細引を見せましたが、結び目は厳重な男結びで、それは近江屋半兵衛の場合と同じことです。

ござの上に寝かして、袷一枚掛けたままの死体の側には、妹のお里がしょんぼり坐っておりますが、平次はそれと相対して袷を取ってみました。

死体は五十三、四の、思ったよりたくましい男で、ただの旅籠屋の亭主の成れの果てとは見られず、身なりなどもなかなかに凝ったもので、決して暮しに困ってせがれを奉公に出す人柄とは思われません。