Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

心配そうにその後ろ姿を見送るお静。

「宜いってことよ、あれで丁度宜いんだよ。八はあれでとんだ弱気で、行儀の良いところがあるんだよ」

平次は面白そうに笑っているのでした。

八五郎が飛び出した後、平次はフト思い立って、佐久間町の仁助店に、殺された樽拾いの小僧、元吉の家を覗いて見る気になりました。

蜘蛛手に入り混んだ路地の奥、元吉の家を捜し当てて、その前に立った平次は、どうしてもう少し早く気がついて、見舞ってやらなかったかと思うほど、それは凄まじくも哀れな暮し向きでした。

「御免よ」

「だれだえ」

奥といっても、破れ障子の中から皺枯れた声がして、それを引開けると鼻の先へ、ヌッと顔を出したのは、埃と垢にまみれて、恐ろしいボロに包まれた四十女。骨張った顔や、険しい眼などを見ると、さすがの平次も一と足後ろへ下がったほどの代物です。

「俺は明神下の平次だが、この間は気の毒だったな。働き者に死なれてさぞがっかりしたことだろう。早速悔みに来なきゃならないと思いながら、御用繁多で遅くなって、済まなかったよ」

「あ、銭形の親分さん」

女の険しい表情が崩れると、柔かい悲しみがムラムラと湧いて、激しい嗚咽が喉をさいなみました。