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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

そして絶望的に涙が爛れた睫に溢れるのです。

平次は足の踏み所もないような、凄まじい混乱の中へ通されました。四人の子供と、ガラクタと、気味の悪いボロ切れが、六畳たった一と間いっぱいに散らばって、荒壁の前に木の箱を据えた不思議な仏壇に額づく場所を作ってくれます。

「可哀想に諦めきれまいが、あとに子供も多いようだから、泣いてばかりいる時じゃあるまい。万々一暮しに困るとか、思案に余ることがあったら、俺の家へ訪ねて来るが宜い。何んとかまた相談にも乗ろうじゃないか、どうせたいしたことの出来る人間ではないが」

腹いっぱいの親切はあっても、正直真っ当に暮している御用聞の平次は、ささやかなお上のお手当で、女房と二人口を養うのが精いっぱいだったのです。

「八五郎親分が、時々覗いて下さいます。あの人は、見掛けに寄らない親切な方で――」

「八が来るかい、そうか、逢ったら褒めて置こうよ。あの男は素っ頓狂でいうことは馬鹿馬鹿しいが、腹の中は良い人間だよ、――それから、これはいくらでもないが、香奠のしるしだ」

平次は妙に湿っぽい心持になって、財布と煙草入に投り込んで置いた小粒を五、六枚、平次にとって、それは今の全財産ですが――鼻紙にひねって、女房の前に押しやるのでした。