Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「お前は?」

平次は死骸から顔を挙げました。隣り町に住んで居て知らない筈はないのですが、近江屋が此処で金貸しを始めたのは、ツイ半年ほど前のことで、番頭の宇八とは、往来ですれ違うか、湯屋で顔を合せる外には、口をきき合ったこともなかったのです。

「奉公人の宇八でございます。――大変なことで」

落着いた調子で、顔色も変えず、眉も動かしませんが、膝に置いた手がわずかに顫えるのを、平次は見のがす筈もありません。

「何処へ行って来たのだ」

「昼過ぎから、主人の申し付けで、取り立てに芝をひとまわりして来ました」

「何処をまわったのだ。行った先の名前は」

「巴町の御浪人で大橋伝中様、宇田川町の呉服屋で相模屋清兵衛さん、芝口二丁目の棟梁で、喜之助親方――それだけでござります」

「晩飯は? 何処でやった」

「喜之助親方のところでごちそうになりました。お酒まで出て」

宇八は自分の頬に手などを当てるのです。

「集めた金は?」

「二月は不景気で、あまり集りません。三軒とも利子だけで勘弁してくれということで、ほんの七、八両取っただけでございますが」

平次の気色の厳しいのにおされたものか、宇八は懐中から財布を出して、中味をザクザク鳴らしたりしております。