Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「なんだ、宅助」

「申しかねますが、こいつが空になっちまったんで……、汲んでのむほどの粉煙草もございません」

「煙草銭がほしいのか」

「へ、へい」

「しばらく我慢していろ」

と天堂一角はまた飲みはじめている。

「ちッ……」と、宅助は舌打ちをして、いよいよ心が楽しまない。そして、わざと突っかけている草履の緒を切って手にブラ下げた。

「旦那、旦那」

「うるさい奴じゃな」

「あいにくと、草履も切れてしまっていますから、それも一つ買っていただきませんと、もうお供ができません」

「いろいろなことを申しおる奴、休んでいる間に、緒をすげておいたらよいではないか」

「一角」と横から、さすがに少し聞きかねて、お十夜が、

「まあ幾らか遣るがいいじゃねえか」

「仲間という奴は使い方があるのじゃ、金をやりつけると癖になっていかん」

「人の仲間をこき使っておいて、そんな一酷をいったってしようがねえ。オイ宅助」

「ヘイ、ありがとう存じます」

銭の飛んでこないうちに、先に如才なく礼をいった。そして、お十夜が、投げてくれた南鐐を手に握ると蛙のようにピョコピョコして、草履を買うといって湯どうふ屋の外へ出た。