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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「――これだな」と、宅助に分った気がした。啓之助が、この女に引きずりひん廻される所以のものは、旺盛な若さを病魔が彫り削った美貌であった。さらにその病魔に手伝おうとする男の残忍性であった。

宅助は、今日まで戒めていた心を自由にあおって、のびのびとお米を眺めた。

「あら……」

お米は部屋の隅へ、ズ、ズ……と押されていた。いきなりだったので、どうしようもなかったが、力の差では争えなかった。

「な、な。……旦那に内証にしておいてやるからよ。俺にだって、いいじゃねえか」

抱きあまるほどな腕の中に締めつけられて、お米は顔を振り動かした。

少し醒めた顔をして、お米と宅助は水茶屋の軒を出てきた。

松島田んぼの宵闇がひろびろと戦いでいた。

まだ蛍は出ないナ、と思うぐらいな風の味が感じられる。ふたりは疲れた歩き方をしていた。

「お近いうちに」

送りだす声を後ろに聞いて、宅助はニヤリとお米の顔を見た。意味のこもった目なのである。だがお米は、たッた今のことを、忘れたように取り澄ましていた。

「ヘン、なにもしないような顔をして!」

肚の中で宅助はつぶやいた。おかしい、くすぐッたいような気もした。