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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、森啓之助とすれば、実に、上乗なる紐を付けておいたものといわなければなるまい。

およそ、世に生きとし生ける雑多な人間――迂、愚、鈍、痴、お天気、軽薄、付焼刃、いかなる凡才にせよ、何かの役に立たないという者はなく、何か一面の特性をもたないという者はないけれど、かかる役目の適材というものは、そうめったにあるものではない。

事簡単に申せば、一匹の男が、ひとりの女を束縛する、一本の紐と化り代るわけで、その屈辱的な努力を軽蔑してやる以外に、買ってやる所はみじんもないが、紐自身にいわせると――紐の宅助の述懐にきけば、どうして、お米の方の目付役も、これでなかなかむずかしいそうだ。

第一、紐の資格たるや、どこまでも自分に好色根性があってはやれない。ありはあってもねじ抑えきる辛抱がいる。第二、ホロリとする同情の廻し者にかからぬ冷酷に強く、俗にいう玉なしという失敗を招かぬこと。第三、どこまでも図々しく、かつしつッこく。第四、嫌わるることにひるまず、しかも先を嫌ってはいけない。そしてあくまで綻びずに、二子の糸で縫いつけたように、終始、完全に女の腰に取ッ付いていることを旨とし、紐の使命とする。