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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「あッ……」と弦之丞。

仕込の山杖、ヒュッと虚空へは抜けたが、白衣は丹花をちらしていた。

「……痛ウッ……つつつ……」と朱を片手に抱きしめながら、硝煙を離れた姿は、ドンと、仰むけに地ひびきをうった。

「やッ?」

かなたに隠れていたお綱は、自分の心臓を射ぬかれたように身を弾いた。

弾けむりのうちに、弦之丞が仆れたのを見て、龍耳老人はぽろりと手から短銃をとり落した。

いかにも疲れたらしい様子が、今になって、かれの呼吸にあらわれた。

「オ、夜が明けてきたな……」

空を仰いでいた老人は、すぐにうしろの崖縁をのぞいて、

「次郎、まいっておるか」

と、誰かを呼んだ。

すると――思わぬ所から思わぬ人間の答えがあって、そこへザワザワとわけ登ってくる男がある。影のように離れたことなく、耳目となり手足となって、老人の信頼あつい次郎とよぶ若者であった。

「まいっております」

と次郎、主人の前へ、蟇のようにうずくまった。

「……あれは?」

「これに持参いたしました」

肩からおろした具足櫃を眼で示すと、老人は篤と見て、きげんよくうなずいた。

「弦之丞の仆れているそばへおいてゆけ。……ウム、よかろう、その辺で」