Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
「宣れ! 誰じゃ! 名を宣れ!」
頼春は刀へ手をかけた。
(俺の心を見抜いた女、生かしてはおけぬ! 生かしてはおけぬ!)
柄を握った指の間が、膏汗で粘っていた。
「承久以来武家方に対し、宮方の謀反成功ませぬ! ……この度のご謀反とて何んの何んの……」
「黙れ!」
頼春は一喝した。
「この身の心を見抜いた女、素性が知りたい! 宣れ宣れ!」
「世間の人達は妾のことを、鬼火の姥と申しております」
「おおおのれが鬼火の姥か!」
暗い空間を上斜めに、星が飛んだかと感じられた。
抜き打ち!
大蛾が地から舞い上がったかと見えた。
鬼火の姥が二間あまり飛んで、御幣を頭上に振りかぶったのである。
「お斬りなさる気か、駄目じゃ駄目じゃ! ……人間の造った刃物では、この姥の体斬れぬ斬れぬ! ……さような考えおやめなされて、姥の言葉にお従いなされ! ……元亨二年の春の頃より、宮方においては諸山諸寺の、高僧名僧を召し寄せられ、関東調伏の大法秘法を、ひそかに行わせおらるること、姥においては夙に承知じゃ。……仏眼金輪五壇の法、一字五反孔雀経、七仏薬師燃盛光、烏芻沙摩変成男子の法、五大虚空蔵、六観音、六字訶臨訶利帝母、八字文殊普賢延命、護摩の煙りを内苑に満たせ、振鈴の音を掖殿に響かせ、祈り立て祈り立てしている筈じゃ。