Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
その呼吸を与平に気づかれるのを恐れるように、――病人置場から部屋へ帰って、もう二十日ちかくも経つのに、まだ与平は付きっきりで世話をしてくれている。仕事に出ないのは役所の許しを得たにしろ、賃銀の収入が絶えることになる。一度そのことを云ってみたら与平は笑って、八年も役所に預けた分があるのだから、そんな心配はまったく無用だと答えた。――肌着や足袋の洗濯から、着替えまでさせてくれる。下帯だけは差入れの品が余っているので、強情にはき捨てにしているが、洗面から食事、夜具のあげおろし、厠へは往き帰り背負ってくれるというふうで、じつの父親にしても珍しいほど、ゆき届いた世話ぶりであった。
「めしはもういいのかね」と与平が云った、「よければ茶を淹れようか」
「ありがとう、湯で済ましたよ」
戸納へくっつけて、たたんだ夜具が置いてある。栄二は上り端からいざって戻り、その夜具へ背で凭れかかった。
「与平さん」と彼は呼びかけた、「手習いをしようと思うんだが、硯や筆なんかを都合してもらえまいか」
「いいとも、見張小屋では帳付けをしているから、いってきいてみてこよう」膳を片づけていた与平は、そう云ってやさしく栄二を見た、「――おまえさんがそんな気持になってくれて、私はうれしいよ」