Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
「みんなにそう云われるのよ」と女は肩をすくめてみせた、「お酒とお肴、お肴はなんにしましょうか」
「めしを喰べて来たんだ、腹に溜らねえ物を二つか三つもらおう」
「あのときとそっくりね」女は栄二を見、それからさぶを見た、「一人ずつだとわからなかったかもしれないけれど、二人いっしょだからすぐにわかったわ、あ、そうじゃなかった、このまえのときあんたたちが帰ってからわかったのよ、あっ、あの人たちだなって」
「うるせえな」と栄二が眉をしかめた、「早く注文をとおして来いよ」
「その、うるせえなっていうの」と云って女は栄二の前へ自分の顔をさしだした、「――あたしのこと、覚えていない」
「似ているのは知ってるよ」
「似ているって、あたしじゃなく」
栄二はおそのに似ていると思い、鼠が食いつこうとおもっていた、という言葉を回想して笑いそうになった。女は、あらいやだ、薄情ねと云いながら、注文をとおしにいった。
「お肴はいますぐよ」と酒だけ持って戻って来た女は、膳を一つ、二人のあいだに置いて燗徳利を取り、さぶに酌をしながら栄二を見た、「――まだあたしのこと思いださない」
栄二が盃を持ちながら、うるせえなと云うと、女はまた両手をぱしっと打ち合わせた。