Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
「――何が悲しいんだ……?」
「…………」
鈴子は鶴雄の胸に頭を埋めて、ただ泣くばかしであった。
「泣いちゃ判らんよ」
鶴雄は乾いた声を不安そうに出しながら、
「――二階のお客さんに泣かされたのか」
鈴子の顔を覗き込むと、
「ううん」
と、可愛いい首を振って。
鶴雄はほっと安堵して、
「じゃ、どうしたんだ……?」
「君勇姐さんが……」
言いかけて、鈴子はまた子供のように泣き出した。
「君勇姐さんが……どうしたんだ……?」
「君勇姐さんが叱らはったんどす」
「なぜ……?」
「なんぜや知りまへんのどすけど、出て行けお言いやして、撲らはったんどっせ」
「撲った……?」
鶴雄はわけが判らなかった。だいいち、君勇がなぜ小郷の部屋へはいって行ったのか、それがうなずけなかった。
「――撲られて、出て来たのか」
「うん」
と、無邪気にうなずいて、
「――あて、もう二階イ行くのんいやどす。かんにんどす」
鈴子はまた泣き出した。
「行かんでもいい。はよう屋形へ帰れ」
「帰っても大事おへんか」
「構わん、おれが責任もつ」
そう言うと、鈴子はふと鶴雄の胸から顔をはなして、ほのぼのと嬉しそうな表情になった。