Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

「これだから、小田策は軽薄だと言われるのだ。もっとも、自分から軽薄だと自称してるのだから、世話はないや」

と、ひそかに呟いた。

弓子は耳の附根まで、いや、眼の中まで赧くなりながら、

「まあ」

と、暫らく口も利けなかったが、やがて

「――じゃ、あたしが掏摸だってこともご存知ですの」

「知ってます」

簡単に小田は言って、

「――いけませんか」

と、煙草に火をつけた。

「構いませんわ」

と、弓子もすかさず言った。

「それに、あたし、今日は掏摸として参ったのです」

「えッ……?」

と鶴雄の方が驚いて、思わず弓子の顔を見たが、小田は、

「ほう……?」

と、落ちついていた。

この落ちつきのない――三十四歳にもなりながら、ちょっと見たところ二十代に見えるくらい、貫録というものがまるっきりない小田だったが、こんなことになると、鉛の置物のように落着きはらっているのは、おかしかった。

「実は……」

と、弓子はきり出した。

「――あたくし、先生にお返しするものを持って参りましたの」

すると、小田は、

「先生は余計だが、しかし、お返しするものを持って来たというのは、もっと余計だな。僕はあんたに返して貰うものなんかないよ」