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Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

「あ、待って……」

と、呼びとめようとした時は、もう襖が閉っていた。

さすがに、弓子は追って行く勇気はなかった。しかし、甘い悔恨は残った。

「――風のようにはいって来て、風のように出て行ったわ。まるで風みたようなひとね。いいわ、あたし風邪引いてやるから」

ごろりと仰のけに倒れて、天井を見ていると、急に襖がひらいた。

弓子はあわてて飛び起きた。鶴雄が戻って来たと思ったのだ。

しかし、はいって来たのは望月三郎だった。

「だれ……?」

弓子は思わず云った。

「いや、そう心配なさらんでもいい。べつに警察の者だというわけでもないから」

望月はにやにやして、弓子の前へズボンの折目を気にしながら、坐った。

「何か御用ですの……?」

弓子は薄気味わるかった。

「用ってわけではないが、隣に泊っているよしみで、一寸顔を出したわけですよ」

「無断で、女ひとりの部屋へはいって来ていいんですか。ダブルの洋服が泣きますよ」

「しかし、無断でひとの懐中を掏るひともいますからね、赤いブラウスが泣きますよ」

弓子ははっとした。が、弱みを見せたくなかった。いや見せてはいけない所だ。

「聴いたのね」