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Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

女中が来ると、

「お客様に紅茶とチョコレートを差し上げて頂戴! ――兄さんは……?」

「お留守どす」

「姉さんもまだでしょう……?」

「はい」

「幹男は……?」

幹男というのは虎吉の一人息子で、中学校四年生である。

「坊っちゃまは……」

と、女中はなぜか赧くなって、

「お出掛けどす」

「ふーん。じゃ、誰もいないのね」

宮子は鏡の中でにやりと薄気味わるく笑って、そして笑ったままの唇へ紅を塗りながら、

「――お風呂沸かして頂戴!」

「はい」

「大急ぎで……」

「はい」

女中が去ろうとすると、宮子は、

「ちょっと!」

と鋭く呼びとめて、

「――あんた、お腹大きいんじゃない……?」

と、じっと女中の腹へ視線を注いだ。

「はあ、いいえ……」

女中は眼の中まで赧くなった。

「だったらいいけど……」

「…………」

女中は何か言いたそうにもじもじしていたが、やがてだまって出て行った。

宮子は念入りに化粧を済ませると、鏡台の抽出から、とって置きのコティの香水を取出して、胸や耳のうしろへ振りかけて、そして再び応接室へ戻って来た。

「お待たせしました」

そう言いながら、椅子に腰を掛けると、宮子はいきなり両手を頭のうしろで組んで、両足をすっと伸ばした、二の腕が白い。