Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いーはとーぼのうがっこうのはる

イーハトーボ農学校の春

宮沢 賢治

Lesen Sie イーハトーボ農学校の春 (いーはとーぼのうがっこうのはる) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.726 Zeichen · 120 Bildschirme

Aozora Bunko

どきっとして眼をさました。水がこぼこぼ裂目のところで泡を吹きながらインクのようにゆっくりゆっくりひろがっていったのだ。

水が来なくなって下田の代掻ができなくなってから今日で恰度十二日雨が降らない。いったいそらがどう変ったのだろう。あんな旱魃の二年続いた記録が無いと測候所が云ったのにこれで三年続くわけでないか。大堰の水もまるで四寸ぐらいしかない。夕方になってやっといままでの分へ一わたり水がかかった。

三時ごろ水がさっぱり来なくなったからどうしたのかと思って大堰の下の岐れまで行ってみたら権十がこっちをとめてじぶんの方へ向けていた。ぼくはまるで権十が甘藍の夜盗虫みたいな気がした。顔がむくむく膨れていて、おまけにあんな冠らなくてもいいような穴のあいたつばの下った土方しゃっぽをかぶってその上からまた頬かぶりをしているのだ。

手も足も膨れているからぼくはまるで権十が夜盗虫みたいな気がした。何をするんだと云ったら、なんだ、農学校終ったって自分だけいいことをするなと云うのだ。ぼくもむっとした。何だ、農学校なぞ終っても終らなくてもいまはぼくのとこの番にあたって水を引いているのだ。