Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いーはとーぼのうがっこうのはる

イーハトーボ農学校の春

宮沢 賢治

Lesen Sie イーハトーボ農学校の春 (いーはとーぼのうがっこうのはる) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.726 Zeichen · 120 Bildschirme

Aozora Bunko

とどなりました。

すると鳥はにわかにしいんとなってそれから飛んで行ったらしくぼろんという羽の音も聞え樺の木からは雫がきらきら光って降りました。「いってごらん。なぜ泣いたの。」

おじいさんはやさしく云いました。「木ペン失ぐした。」キッコは両手を目にあててまたしくしく泣きました。「木ペン、なくした。そうか。そいつはかあいそうだ。まあ泣くな、見ろ手がまっ赤じゃないか。」

おじいさんはごそごその着物のたもとを裏返しにしてぼろぼろの手帳を出してそれにはさんだみじかい鉛筆を出してキッコの手に持たせました。キッコはまだ涙をぼろぼろこぼしながら見ましたらその鉛筆は灰色でごそごそしておまけに心の色も黒でなくていかにも変な鉛筆でした。キッコはそこでやっぱりしくしく泣いていました。「ははああんまり面白くもないのかな。まあ仕方ない、わしは外に持っていないからな。」おじいさんはすっと行ってしまいました。

風が来て樺の木はチラチラ光りました。ふりかえって見ましたらおじいさんはもう林の向うにまがってしまったのか見えませんでした。キッコはその枝きれみたいな変な鉛筆を持ってだまってかくしに入れてうちの方へ歩き出しました。