Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いーはとーぼのうがっこうのはる

イーハトーボ農学校の春

宮沢 賢治

Lesen Sie イーハトーボ農学校の春 (いーはとーぼのうがっこうのはる) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.726 Zeichen · 120 Bildschirme

Aozora Bunko

「福島です。」

「前はどこに居たね。」

「六原に居りました。」

「どうして向うをやめたんだい。」

「一ぺん郷国へ帰りましてね、あすこも陰気でいやだから今度はこっちへ来たんです。」

「そうかい。六原に居たんじゃ馬は使えるだろうな。」

「使えます。」

「いつまでこっちに居るつもりだい。」

「ずっと居ますよ。」

「そうか。」農夫長はだまってしまいました。

一人の農夫が兵隊の古外套をぬぎながら入って来ました。

「場長は帰っているかい。」

「まだ帰らないよ。」

「そうか。」時計ががちっと鳴りました。あの蒼白いつるつるの瀬戸でできているらしい立派な盤面の時計です。

「さあじき一時だ、みんな仕事に行ってくれ。」農夫長が云いました。

赤シャツの農夫はまたこっそりと自分の腕時計を見ました。

たしかに腕時計は一時五分前なのにその大きな時計は一時二十分前でした。農夫長はじき一時だと云い、時計もたしかにがちっと鳴り、それに針は二十分前、今朝は進んでさっきは合い、今度は十五分おくれている、赤シャツはぼんやりダイアルを見ていました。

俄かに誰かがクスクス笑いました。みんなは続いてどっと笑いました。すっかり今朝の通りです。