Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

私がルツァーンに着いた次の日は、湖水の靄につつまれて、街に出ても何にも見えなかった、悠々と落ちつきこんで、まあ昼前は湖水のふちでもぶらつこうと、何気なくロイスの河ふちに来ると、ウリに通う汽船があるので、ふと気が変って乗りこむと、殆んど同時に岸をはなれた。埠頭の杭が朝霧の中にふうーっと溶けてしまうと、もう一面にまっ白で、外輪車のゆるく波を切るより外に、眼をなぐさめるものはない。船はロイスの川口を曲ると、もう広々とした大海にのり出したような気がしたが、絶えず鳴らすネーベルホルンは、すぐ左から木魂して来る、アルトシュタットの鼻を廻るんであろう。

間もなくキュッスナッヘル・ゼー K※(ダイエレシス付きU小文字)ssnacher See の沖にかかったと見える、しきりに鳴らすネーベルホルンも、静かな波の上に消えて、船を包む扉の中に、私も夢の心地である。

室は二つに分かたれている、私の仲間にはシーを携えた身軽な連中で、所謂一等室の真ン中には、ノートルダームの塔の上から盗んで来た様な独逸人がたった一人、船をわがもの顔にそっくりかえっている。

ネーベルホルンが、すぐ鼻の先からけたたましく木魂をかえしたと思うと、霧の中から真っ黒な杭があらわれて、船はウェッギス Weggis の岸に横づけになった。