Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
の方が余ほどいいと思う。
三十分ばかりでシルヴァプラナの村に来て、立て場の宿で御茶を命じた。郵便馬車 Swiss-Post, Diligence が日に三回、サン・モリッツの北のサマーデンから、三十五哩半の此の道を通って、マロヤ・パッスからキヤヴェンナまで通っている。その中、遠くから角笛が聞えて、入り乱れた蹄の響がすると、間もなく宿の前に、黄ろく塗った郵便馬車が着いた。乗合馬車と云うと、廃頽した古駅の寂しい中にも、何となくなつかしい感が起るとともに、酒と女と賭博で持ち崩した、一目見ればすぐそれとわかる卑しい顔をした若者が、自棄くそに、干からびた馬車馬の背なかを、ひっぱたくのが眼に映るが、スウィスのディリジャンスは、もっとも整頓した交通機関の一つであって、逞ましい馬の四頭立て、軽る軽ると蹄をあげて走るのが、路はよし、大雨はすくなし、石ころ交じりに草鞋の腐った、信濃の国の片田舎とは、感じに於てもすでに格段の相違がある。グリムゼルでも、グラン・サンベルナールや、サンゴタールでも、自動車の使えない山の奥の往来には、御客ばかりでなく、小荷物も頼めるから非常に便利である。