Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
私達の登る路には、大きなクレヴァースは無い、然し右左には、積雪の下から、蒼く口を開いたシュパルトゥンクが、絶えずのぞかれる、そして足跡のあるその氷河にも、雪の間に小さな穴が沢山あって、こころみに氷の破片を落し込むと、響尾蛇のようにかすかに、氷の擦れ合う物音が、深い深い氷河の底から、うす気味わるく響いて来る。
「●シュトラールエックの登山小屋」のキャプション付きの写真
●シュトラールエックの登山小屋
注意に注意して登ってゆくと、遠い岩の上に、シュトラールエックの小屋がのぞまれた。此の時アイガーの雲は、いつの間にか頭の上に覆いかぶさって、アヴァランシュだと思っていた鈍い物の響を、おお遠雷! と気がついた頃には、雲はもう真白な霧になって、ひたひたと私達の後ろから包みはじめた、そして間もなく、氷と雪と、真白な霧の間を、サクリサクリ積雪を踏んで、シュトラールエックの岩の上にたどりついた時分には、尾根のうしろに、私達には黒く見えた深い蒼空にぬけ出た、グロース・シュレックホルンの山稜も、もう霧の間にかくれてしまって、汗ばんだ下着まで、冷や冷や沁み透るくらい、寒い風が、氷河の裾から吹き上げて来た。