Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
たので、これからは二人ともフィルムばかり見ている、そして退屈すると歌を謡ったり、伊太利亜語の試験が初まったり、病院だか何だかさっぱり分からない、看護婦がやって来ると、極東生れのカルーソを聞かせたり、終いにはスウィスの最高峰の標高如何、ユンクフラウの最初の登山者の姓名と年代だとか、シュレックホルンの字義如何などと、知りそうもないことばかり並べて牛耳ったりした。
室附きのメイドに、マリー、マルタと云う二人の娘がおる、から山出しのお転婆で、用のない時はいろんなことを云ってからかったものだ、菓子なんかやると、独仏を交ぜこぜにメヤッシー・フィールマールなんて云う、おいメヤッシーてどこの言葉だって聞くと、独逸語ですって澄ましたものだ、それから今度は調子にのって、御前の言葉は文法が異う、こう云うんだろうなんて、一々混ぜかえすと、確っかりした根柢はないんだから、散々考えて、やっぱり妾の方が正しいようだなんて、少々心細い返事をする、年はそれでも十七か八だろう、日本の女でこの年頃というと、人がものを云っても、見ず知らずの男には、ろくな返事も出来ないから、人類だか何だか、眼の悪いものには余ほど気を付けないと分からない位だが、病院生活にはこの二人がほんとにいい相手だった。