Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
対岸の絶壁にかかるギースバッハの瀑布から、むらむらと湯気のような霧が湧き上って、ファウルホルンの連脈は仰ぐことは出来なかった、そのうちに、南の風が水を渡って、しとしとと小雨になって来た、午後の四時過ぎ、うすら寒い街道を、雨をついて馬を駆けさせると、白樺の葉の風にちぎれて飛び去るのも、水際にキ、キ、と飛んでゆく鶺鴒の、うら悲しい鳴く音も、もう秋、山国の黄葉する頃を思い出さずには置かなかった。
幾群の土工が、湖畔に線路工事をやっている、通りすがりに私達を見て、ボンジオルノと云った、寒いなあと声をかけると、足早やにあとを追って来た、国のものと見て、金でもねだるつもりだったろう、そのまま鞭をくれて、一散に駆けて通る。雨はますますはげしく、夏とは云え、外套は用意していたが、湖畔の雨は寒いくらいである。シュピタールに戻ると、廻診に留守を喰った医者が、文句を云いにやって来た、今度もシガーで買収する。
その頃、うららかに晴れた日の朝、今度はトゥーンの湖に沿うて、馬車を走らせたことがある、ウンテルゼーエンの村路から、ひろびろと水を距ててニーセンを望むと、すぐ右に切れて、だらだら路を北に上る、ベヤテンベルクの、裾を覆う濶葉樹の森をぬけて、街道は、湖水の北側の崖の上を、トゥーンへ通うのであるが、折り折り、逆か落しにそそぐ瀑布