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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 不連続殺人事件 (ふれんぞくさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.047 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

まさしく天才である。我々はイヤというほど実例を見せられ、全くどうも奴の観察の確実さ、人間心理のニュアンスを微細に突きとめ嗅ぎ分けること、怖ろしい時がある。彼にかかると、犯罪をめぐる人間心理がハッキリまぎれもない姿をとって描きだされてしまう。全てがハッキリ割切られて、計算されて、答がでてくるのだが、それがどういう算式によるのか、変幻自在、奴の用いる公式が我々には呑みこめない。

我々文学者にとっては人間は不可決なもの、人間の心理の迷路は永遠に無限の錯雑に終るべきもので、だから文学も在りうるのだが、奴にとっての人間の心は常にハッキリ割り切られる。

「それくらい人間が分りながら、君は又、どうしてああも小説がヘタクソなんだろうな」と冷やかしてやると、

「アッハッハ。小説がヘタクソだから、犯罪が分るんでさア」

こいつはシャレや御謙遜ではないだろう。この言葉も亦真理を射抜いた卓説で、彼の人間観察は犯罪心理という低い線で停止して、その線から先の無限の迷路へさまようことがないように、組み立てられているらしい。そういうことが天才なのである。

だから奴は文学は書けない。文学には人間観察の一定の限界線はないから、奴は探偵の天才だが、全然文学のオンチなのである。