Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme
所有主は戦死しているのだし、あれだけの揮発はこの場合大変な足しになる。この話が徴発員の耳に達したから、すぐマテアスフォルト街の家へ出かけて行って、窓の鉄棒をこわして這入った。
成程、階上の一室に大きな錻力の桶が七つ置いてある。カルマンが見て、町で評判になった時は五つだったのが、キスが出征する前に二つ殖えたとみえる。七つになっていた。徴発員は聞いたより二桶も多いので、すっかり喜んだ。二年間閉めっきりだったので、家の中は蜘蛛の巣だらけ、桶は埃りをかぶり、湿った空気が澱んでいて、物凄いようである。揮発油ではあるまい。密輸入したブランディを貯蔵してあるのだろうと思った。台所からコップを持って来て桶の横腹に穴をあけて内容を受けてみる、舐めて試る。ブランディではない。揮発油でもないアルコウルである。重い、一つずつ二人掛りで動かした。
覆をあけてみると、女の着物が詰まっている。その下に裸体の女の屍骸が這入っていた。アルコウル漬けになっているから、余り崩れないで、顔などもはっきり鑑別出来た。頚のまわりに赤い痕があって、絞殺されたことが判る。輪の結び目を辷らして締めたものに相違ない。