Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme
此処だと言うので、一度あのディクシイ国道とロレイン街の曲り角で自動車を停めたように記憶していますが、悪魔の手が、下りようとするあの児の前へばたんと車扉を閉めて、それからは夢中でスタンレイ街道へ乗り入れました――何を考えていたか、凡べて悪魔の仕業です。あの娘は、車の中でしくしく泣き出していました。自家へ帰り度いと言うのです。早くうちへ伴れて行かないと、お母ちゃんに言いつけるといって、泣くんです――」
告白者の口は、捻ったように歪み、手は無意識に、しきりに血だらけの頸を撫でさすって、指が、痙攣的に開閉している。一寸語を切って、顔を前へ突き出した。耳を立てる。二階下の正門前の犇めいている物凄い群集の喚声に聴き入っているのだ。と、突如、蹴るように椅子を離れて、人間と言うよりは、けだもののような乾いた唸り声だ。
「聞えます。私の耳には、今でもはっきり聞えます――あの娘は最後まで、うちへ帰らして呉れと言って泣き叫びました。それが、聞えるんです」
皆押し黙っている。警官、新聞記者、誰も口を開かない。その面前に揺れ悶えている、血を浴びた、ぐじゃぐじゃの動物から眼を離す力が無いもののように、呆然と見入っているきりだ。